思考の論理的形式Ⅱ
トップページへ
 思考の論理的形式Ⅱでは命題論理学・述語論理学の応用について学び、論理的な文章を執筆する能力を養います。授業は、野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書を教科書にします。思考の論理的形式Ⅰと独立して修得できますから、興味ある人はHPを覗いてみて下さい。新しい発見があるかもしれませんよ(#^.^#)。
文中youtubeのリンクが張ってあるところがあります。著作権についてはyoutubeが管理しているものと判断して、それに係わる責任については一切負いません。なおリンクがうまく接続しなかった場合、IEの[表示]→[最新の情報に更新]をクリックしてください。

1.論理的とは?
[授業目標] 論理的とはどういことか

kyouyou.pdf へのリンク←改訂を検討中。
文章の前後の内容を明確に意識して、作文する
能力を養う。このことを主眼において講義をすることにします。

1. 接続関係のトレーニング一歩前 広い意味の「論理」とは言葉と言葉の関係である
   タコは8本足である。チョウはタコではない。故にチョウは8本足でない。これは論理的な演繹と思いますか。

2~4では、まず文章読解の基礎として、文章の前後関係を明示する接続詞・指示詞の用法を主に学びます。作文の技術を学ぶための初歩です。
2. さまざまな接続関係 解説・根拠・(例示)
   教科書:野矢茂樹(2006)第1章
3. さまざまな接続関係 付加と転換
   教科書:野矢茂樹(2006)第1章
4. 接続の構造 接続構造の分析
   教科書:野矢茂樹(2006)第2章
   教科書の練習問題をベースにしますが、若干教科書の読みに違和感を覚えるところもありますから、HPの問題で代替します。

★解説〔主張の意味を分かりやすく噛み砕く〕・根拠〔主張の理由を提示する〕は、文章中でまとまり・補強を与える働きをする車の両輪。
★車の方向調整をするのが、付加・転換(かな?)。
5~8では、特に根拠の接続関係に注目してトレーニングを行う。根拠は意味の観点からと事実の観点から論じることができる。前者が演繹に係るものであり、後者が推測に係るものである。
5. 論証を評価する 根拠(意味規定・事実認識・価値評価)
   教科書:野矢茂樹(2006)第4章 インターネット検索注意・書誌事項の挙げ方
   根拠・導出・結論のうち根拠について学ぶ。
6. 導出の適切さ
   教科書:野矢茂樹(2006)課題問題を班毎に解く
   あえて反論することによって、導出の適切さが試される。そのさい、前提を認めて結論を否定するというトレーニングが有効である(野矢茂樹氏からの受け売り)。
7. 演繹と推測のちがい 隠れた原因・統計処理
   教科書:野矢茂樹(2006)第5章
   推測の特質を学ぶために課題を解く。
8. 仮説を評価する 
   教科書:野矢茂樹(2006)第5章
   科学方法論で扱われる仮説形成を学び、柔軟に仮説を構想してみる。

9~14では、演繹に関する基礎的な決まりを学ぶ。
9. 演繹1 否定とドモルガンの法則
   教科書:野矢茂樹(2006)第7章
   ド・モルガンの法則は頻出事項です。よく復習しておきましょう。
10.演繹2 述語論理学の基礎
   教科書:野矢茂樹(2006)第7章
11.演繹3 逆・裏・対偶 「のときだけ」の文法
   教科書:野矢茂樹(2006)第8章
   「のときだけ」を、逆・裏・対偶と混同する人がいますが、くれぐれも混同しないよう。
12.演繹4 条件連鎖のトレーニング
   教科書:野矢茂樹(2006)第8章
13.小テスト
14.推論の技術
   教科書:野矢茂樹(2006)第9章 予習してくること

まとめの意味で文章の書き方のスピリッツに言及する。
15.異論と批判
   教科書:野矢茂樹(2006)第10章 有事法制案の新聞論評を検討する

〔課題〕以下の資料の要点を110字程度で要約せよ。

〔資料〕大森荘蔵、1998、「思考と論理」『大森荘蔵著作集 第七巻』岩波書店、283-285ページ。
 「・世界の法則としての論理
 論理法則とは言語の意味規則から導かれるものである、というのがこれまで述べてきた言語規則説の見解である。しかし、そうでない、論理法則は世界そのものに適用される最も広範囲で基本的な法則なのだ、という考えが昔からあったし今もなお多くの人がそう考えているように思われる。確かにこういう考えに誘う原因が幾つかある。私が論理学を全域論理学と呼んだ(「思考と論理」5章)ように、論理法則はこの世界のあらゆる領域に成り立っている。それゆえ、経済学の法則や物理学の法則のように成立範囲に限界があることはなく、そこから森羅万象すべてに当てはまる法則のように思われるのである。
 ・論理は経験法則でない
 しかし、それは誤りである。この世界で事実的、経験的に成り立つ法則はその適用範囲の広い狭いにかかわりなく、論理法則の特性である必然性(8章)を持つことができないし、そういう必然性をもった経験法則は現に一つもない。どんな経験法則でもそれが成り立たない場合を考えうるのである。朝太陽は東に上る、という法則でも地球の自転方向が逆になれば成り立たない。生物はすべて死ぬ、というが老化を一切しない細胞はありうるだろう、そのような細胞は絶対ありえない、と言える人はいないのである。結局、どんな事実法則に対しても、その法則に従わないような事実がありうるのである。少なくとも、その法則に反した事実を考えることができる。ところが、論理学と数学にはそれに反した事実を考えることができない。例えば、明日のお天気が「雨であるか又は雨でない」ということが言えないような天気であることを考えることができようか。どんな異常な気候を考えても、それは雨であるかさもなければ雨でない。なぜならこの排中律という論理法則は気象学者が発見するような経験法則ではなく、「雨である」の反対は「雨でない」ということと同じである、という言語規則だからである。経験法則はこの世界について述べた法則であるがゆえに、この世界のあり方次第では成り立たったり成り立たなかったりする。しかし言語規則説が示してきた様に、論理法則は言語規則、またはそれから導出されたものであって、事実について何かを述べるものではない。だから事実がどうであるかにかかわらず、つまり事実世界がどうであるか、世界に何が起るかにかかわらずに成り立つのであり、このこと、すなわち「事実がどうあるかにかかわらず成り立つ」ということが「必然性」なのである。それは、何が何であっても成り立つ、ということだからである。
 ・論理は言語を通して世界に成り立つ
 こうして、論理法則はこの世界についての法則ではない。だがそれにもかかわらず論理法則はこの世界に成り立っている。これはおかしいと思う人も少なくないだろう。しかし、この一見おかしい、矛盾ではないか、と思えることも言語規則説は無理なく説明するのである。われわれは世界について言語を使って述べる。ところが、論理法則はその言語の規則から導出されたものである。したがって、論理法則は、世界について述べるその言語について成り立っていることは当然だろう。だから、世界について述べた言語に対して論理法則が成り立っている。だがこのことはとりも直さずに、論理法則が世界に対して成り立つことに他ならない」。(後略)

ノートの取り方
 「「哲学3.14」は、ヒュームの『人性論』*をもとにした哲学の入門書である。3.14と銘打ったこの本は、非哲学的知を反面教師として、哲学を知ってもらおうという意図で書かれた。3.14と言えば円周率の近似値であり、ゆとり教育で円周率3と教えられてきたという文脈で、一時期話題になった(旧聞に属するが)。円周率3に比べ、3.14はより「正確」であると考えられるかもしれない。それゆえ読者のなかには「哲学3」というものがあるとして、「哲学3.14」が、それより高度な哲学である、と期待する向きがあるかもしれない。しかしそうではないのである。3.14という近似は、円周率が無理数であることを素どおりしている。また超越数(有理数を係数としてもった代数方程式の解とならない数)であることについても、無頓着でしかない。しかも、円周率を近似値的に無限級数で求める努力すら放棄している(無限回計算をすればよいのであるが、さまざまな方法があることや収束の速度に優劣があることなど)。さらに言えば、円周率に7が十回続けて現われることを、人類はいまだ知らないが、この先、計算を続けていったとして、それを知る(そんなことができるか?)前に「十回続くか、続かないかのいずれか、あらかじめ決まっているかどうか」という類の基本的問題も、3.14という近似に対応した思考レベルの射程外にある。
 つまり「哲学3.14」は、「哲学3」と、さほど変わりがない非哲学的な思索にとどまっている。著者の筆運びは、はなはだ千鳥足であり、(ヒューム的)観念論と(大森的)実在論とのあいだで、多分に「人生論的決定」に左右され、さまよっている。両者を論理によって架橋する努力がなされていない。裏返して言えば、論理が欠如している。だから、これが「哲学の見本」ですよ、と太鼓判を押せない。論理の欠如は哲学にとって、致命的な欠陥であるから、非哲学的と言っているである。
 しかし「哲学3」のレベルよりは、いかほどかの「上昇」の望みを託している。何が哲学的でないかを学ぶことは、遠回りながら、哲学への一つの道だからである。最近は哲学的談話のなかで「善」という価値を積極的に考究しないような風潮、もしくはやみくもに、何でもいいから考えていたら哲学的と見る傾向もあるようである。そういう流行を頭から否定するわけではないが、少なくとも基本的な価値判断を放り出すような行為は、できるだけ避けてゆきたいものである。
 先取りすれば、ゆるい流れであるが、観念論から実在論へという方向で、ヒューム的観念論から大森的実在論?へとかじを切っている。どうか私の理解する大森哲学が――それが観念論であるという通説とは異なり――実在論の「極北」に位置することを、心して読み取っていただきたい。論理的根拠がないのに主張する独断的な物言いを、決定と呼ぼう。だから「人生論的決定」とは、人生観にしたがって決定することを言う。生き方が大森実在論の「かなめ」を占めるならば、そして、生き方に由来する「人生論的決定」が迫真力をもっているとしたら、それをかたどる「哲学3.14」では、論理的整合性は脇に置かれる。「哲学3.14」とは反哲学的断章のことなのである。
 さらに言えば、現在、哲学の主戦闘は、観念論対実在論ではなく、現実性対可能性という戦場で繰り広げられているようにも思える。もう少し正確に言えば、言語に汚染されていない現実的なものを端的に認めるか、言語的処理にかかわり他の人とも比較可能なクオリア(感情・知覚の実質みたいなもの)*を想定するかの対立である。この本が、その議論の前に問題となる、観念論対実在論の考察となれば幸いである。ただし、ここで言う実在論とは、素朴実在論・科学的実在論とは関係のない、実在の信?とでもいったものである・そしてそれを実在論の「極北」と考えているのだが。その輪郭について示唆することができたら、望外の喜びである」。

■ノートにとってみよう。[→専修大学出版企画委員会、2018、『新 知のツールボックス』専修大学出版局、workbook、2-3ページ。]
1.レクチャーの大事な要点。
2.語句や事項の説明部分。
3.実例や比較によって、1の要点を説明している部分。
4.学生間でノートを交換し、点検してみよう。

1.哲学3.14:哲学3よりずっと高度な哲学入門ではない。→哲学入門であることはたしか。ex.ヒュームの『人性論』をお手本。
 とはいえ、それは基本的な問題をちゃんと考えたいという趣旨で書かれている。→基本的価値判断をとり上げる。ex善という価値。
 実際、観念論から実在論への転換という高度な内容にも触れている。ref.大森実在論
 さらに、その先に広がる、現実性vs.可能性という哲学の主戦場の準備段階をしつらえている。?!

:   主語と述語。事項とその解説。
ex.  例示。example
ref.  とくに参照。比較せよ。refer cf.=conferでもよい。
←  根拠・もしくは論理的連関。
vs.  背反・両立困難。versus
?!  話が見えない。質問に行こう。

2.「哲学3.14」は、「哲学3」と、さほど変わりがない非哲学的な思索にとどまっている。「人生論的決定」とは、人生観にしたがって決定することを言う。
→人生論的決定に従う哲学3.14は論理的ではないので、高等な哲学書ではない。

3.「哲学3.14」が、高等な哲学入門書でない比喩的例示。
・3.14という近似は、円周率が無理数であることを素どおりしている。
・超越数(有理数を係数としてもった代数方程式の解とならない数)であることについても、無頓着でしかない。
・円周率を近似値的に無限級数で求める努力すら放棄している(無限回計算をすればよいのであるが、さまざまな方法があることや収束の速度に優劣があることなど)。さらに言えば、円周率に7が十回続けて現われることを、人類はいまだ知らないが、この先、計算を続けていったとして、それを知る(そんなことができるか?)前に「十回続くか、続かないかのいずれか、あらかじめ決まっているかどうか」という類の基本的問題も、3.14という近似に対応した思考レベルの射程外にある。

⇔それに対応して、「著者の筆運びは、はなはだ千鳥足であり、(ヒューム的)観念論と(大森的)実在論とのあいだで、多分に「人生論的決定」に左右され、さまよっている。両者を論理によって架橋する努力がなされていない。裏返して言えば、論理が欠如している」。

2.接続関係(順接)[→教科書:野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、第1章]
[授業目標]順接の接続詞の空所補充題を学ぶ

【例示と解説】
★例示は具体例による解説、もしくは論証を示す。その接続関係を示すものとして「例えば」が典型的である。この接続詞で結ばれる「A例えばB」はAが概説であるのに対し、Bは例示の関係にある。具体例は、あることがらを論証するための根拠に、用いられる場合もある。
 ex.惑星は衛星よりも半径が大きいとは限らない。例えば木星の衛星のガニメデは水星より半径が大きい(注:ただし質量は水星の方が大きい)。←この場合はれっきとした根拠になっている。
 
存在文「Sの中にPであるものが存在する」、もしくは「Sの中にはPでないものが存在する」(「すべてのSはPだ」の否定)の根拠には、例示が使われる。だから、「すべてのSはPだ」の否定のためには、「Sの中にはPでないものが存在する」ことを論証することになる。すなわち「PでないSに該当する個体」 の例示が用いられる。これを反例と言う。

〔問い〕「O型のひとは気前がいい」ということを反駁するための例示を挙げよ。「O型のひとは気前がいいが、軽率である」ということを反駁するための例示を挙げよ。(創作であってもよい、つまり実例であることを要求しない)

〔問い〕「ロボットは心がない」ということを反駁するための例示=反例を挙げよ。ちなみに最近の機能主義的随伴現象説では、ロボットは意識をもちうるとされる。つまりソフト・シュミレーション内のキャラクターSIMは意識をもつとされる。この辺りに興味のある人は、「人間中心原理」という科学理論等を調べてみてください。

★解説はまとめ、敷衍・言い換えであって、今までと全く新しい議論を始めるわけではないとき用いられる。「すなわち」「つまり」が、その接続関係を示すものとして、代表的なものである。解説〔主張の意味を分かりやすく噛み砕く〕・根拠〔主張の理由を提示する〕は、文章中でまとまり・補強を与える働きをする車の動輪である。
★車の方向転換をするのが、付加・転換ということになるだろうか。

 例示が入るときA・Bは「A例えばB」の順序しかならない。「例えば」が入るかチェックするとき、「B例えばA」と書いてみて、おかしいなら、「例えば」が入る可能性が高い。それに対して解説が入るときAをBで言い換えても筋が通るはずである。したがって「BすなわちA」と書いてみて、おかしくないないなら、「すなわち」が入る可能性が高い。

【根拠】・・・ゆえに、というのも、つまりetc.
「つまり」は、解説と紛らわしい場合もある。この指摘は教科書で初めて気づかされた。
 ex.雄太は18歳だし、千尋は16歳だ。つまり、もう法的に結婚してよいというわけだ。

〔課題〕次の二つの文の意味のちがいを説明せよ。
①金があるので遊びに行ったのだろう。
②金があるから遊びに行ったのだろう。


〔問い〕野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、19ページ例題1、21ページ例題2を解くこと。

【付加】・・・そして とその仲間たち

 付加「そして」は、ほとんど、どんな場合でも順接に使える。ということは、文脈をはっきりさせるために「そして」はできるだけ使わない方がよい。「そして」を多用する文章は悪文である。

・「今日は仏滅でない。むしろ結婚式には好ましい」(仏滅には普通結婚式を避けます)A(今日は仏滅の日である)またはC(今日は仏滅より縁起のいい日である)、Aでない、故にCならばB(結婚式には好ましい)、よってAでなく(むしろ)Bである。
 答え AまたはC、Aでない、故にCならばB、よってAでなく(むしろ)Bである
※注意:仏滅でなくても赤口だったら最悪のように思えるかもしれない。しかし赤口は正午のみ吉の日です。正午に結婚式を挙げるのならよいのでは・・・。
・「今日は誕生日だ。しかも両親の結婚記念日だ」(誕生日はめでたいものと仮定しましょう)。今日が誕生日(A)ならばめでたい(C)。今日が両親の結婚記念日(B)ならばなお、一層めでたい(C)
 答え AならばC、Bならば一層C、故にAかつ(しかも)Bこれを累加と言う。

〔問い〕 接続詞・指示関係を把握するトレーニングを解きなさい。『今昔』を今日によみがえらせたのは、芥川龍之介の小説『羅生門』や『藪の中』等によってではなく、黒澤明の『羅生門』*のような、視聴覚的な表現によってであった。映画『羅生門』を知っていなくては話が始まらないので、まず動画を見てください。*『羅生門』は小説『藪の中』の映画化です。念のため。
問一、
1.後続の文章が「ても」~「ではなかろうか」と譲歩の仮定+推測になっていることに着目する。
2.続く文章が『今昔』についての俗説を否定する文章になっていることに気をつける。「いや」は自問自答で否定する場合だからなじまない。
3.A「ではなく」Bという択一構造に目を向ける。単なる「付加」(そして)ではひねりが足らない。

〔勉強のすすめ〕
①描写のうしろに寝るとはどういうことか。説明しなさい。
②おしゃべりに熱中したことと、熱中するふりをすることはどうちがうか。説明しなさい。
③平安末期・鎌倉初期の口承の文学に、どのような現代の表現形式が対応しているか、答えなさい。
④『今昔』の文学的価値を簡潔に表現している語句を、文中より十字以内で抜き出しなさい。
⑤話すとおりに書くとはどういうことか、簡潔に述べなさい。
⑥今日の状況と「平安末期・鎌倉初期」の異なる点を述べなさい。
⑦芥川が説話文学に及ばなかった点を、具体的に説明しなさい。

3.接続関係(逆接も含む)[→教科書:野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、第1章]
[授業目標]順接か、逆接か文章の流れを押さえる

接続の構造:専修大学出版企画委員会編、2018、『新・知のツールボックス』専修大学出版局では、主張の明確化の手立てとして、敷衍・例解・比較・対比・限定が挙げられている。[→野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、82ページと比較対照されたい。]・・・例示は「解答」を与えることに限定されない。答えの手前の「根拠」であったりする。したがって、例解という表現を避けたい。

★【転換と補足】
「AしかしB」「AただしB」どちらも逆接・・・「AしかしB」で言いたいのはB(話の本線はB)。「AただしB」で言いたいのはA(話の本線はA)。


〔課題〕以下の四つの表現を区別せよ。
・この宝石は美しい。しかし高すぎる。
・この宝石は安っぽい。しかし高い。
・この宝石は高い。しかし安っぽい。
・この宝石は美しい。ただし高すぎる。

野矢茂樹、2005、「しかしの論理」『他者の声 実在の声』産業図書、267-279ページ。逆接の論理について説明がある。
 
 そこで、ある主張に伴う前提を[]で括り、その前提のもとでの命題内容を()で括れば〔上記の野矢論文に従う〕、
「今日は大寒だ。でも、寒くない」は[大寒ならば寒いと考えられている](今日は大寒であり寒くない)となります。
 一般に、「AしかしB」は次のように書けるでしょう。[AならばBではないと考えられている](AかつB)

 変形すれば[AならばBと考えられている](AかつBでない)となります。
 

〔問い〕以下の文章における「にもかかわらず」という逆接の接続詞がとられている理由を述べよ。
 「ぼくはかなり愛情深い(利己的でない!)親なので、自分の子供に道徳的に善い子になってもらいたいとは思っていない。むしろ道徳をうまく使いこなせる力と、良心の呵責のようなもので苦しまないですむ、細やかな道徳的感性に対する高貴なる鈍感さとを、身につけてもらいたいと思っている(思うに鈍感とは最も高貴な美徳だ!)。
 
にもかかわらず、三歳の娘が恐い夢を見て眠れないときなんか、こういう話が自然に出てくる。「恐いものは悪い子のところだけにやって来るんだよ。善い子にしていれば恐いもんなんて絶対に来ないからね」。この話は実によくできているではないか!一石二鳥とはこのことだ。子どもの恐怖心を取り去ってやり、同時に子どもを善い子(=親にとっても都合のいい子ども)に仕立てあげられるのだから」。[→永井均、1996、『〈子ども〉のための哲学』講談社現代新書、156ページ。]

〔宿題〕野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、課題問題1の問4.問5.問6.やってくること。

4. 接続の構造 接続構造の分析[→教科書:野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、第2章]
[授業目標]接続構造の理解を通して、文章の意味を掘り下げる

 指示関係をつかむ⇔議論を接続することを学ぶ・・・結構、この点は重要である(ドイツ語を読むときなんか代名詞・関係詞の指示対象を、性、数や格で把握する必要がある。英語ならtheはなぜついているかという問題意識をもつこと)。
(単に指示詞の問題ではなく、内容把握に関わってくる)

 自分の書く文章で、指示関係を明確にしたいとき、ニュアンスのちがいを明示したいときは、文章を書くさい、単語に1,2,3,の添え字を付けて紛らわしい表現を区別する。

例:共同行為は目的合理性の追求だけで、十分に解明されるであろうか。目的合理性(結果の善し悪しで行為を選択する原理)に対し、価値合理性(つまり或る程度、結果を度外視して行為を選択する原理)はより広範に行為をカバーすると考える。とはいえ価値合理性は、複雑なメカニズムの上に成立するのだから、それに則る価値合理主義者を理解するためには、まず基本的な、目的合理主義者と(価値合理性にコミットする)非帰結主義者の区別を、明確にしなければならない。目的合理主義者は帰結から推論して、行為を選りすぐる行為者である。非帰結主義者は、可能な選択肢から行為を選ぶとき、帰結を考慮せず、より豊富な選択肢(機会集合って言います。例えばレストランのメニューに模すことができるでしょう。)の中から選択する傾向を有する。
 これまでも厚生経済学は非帰結主義者を分析対象としてきた。だが例えば概説書、鈴村,2009,第13章の非帰結主義者の規定において、選択肢が同じ数の場合、その時に限り、非帰結主義者は個々の帰結に注意を払う。本論では、鈴村書の非帰結主義者を非帰結主義者1、帰結に配慮しない非帰結主義者を非帰結主義者2と呼び、非帰結主義者2を本来の意味での非帰結主義者として定式化することを試みる。
 というのもこれまで、あからさまに目的合理性を称揚しない人でさえ、非帰結主義者2、とりわけ「価値合理的な非帰結主義者」 を低く評価してきた、という事情――その裏返しとして、非帰結主義者1に当たる(?)「価値合理的な目的合理主義者」をモデルとしてきた、という事情――があるからである。

※『今昔』の問題の発展問題を復習しておこう。

※何を主張したいのかを、考察することが内容把握の基本。本文に書かれていない知識はできるだけ排除して、虚心坦懐に文章の言わんとすることに耳を傾ける。以下は戦後、現国参考書の古典と呼ばれたものからの抜粋である。

〔資料〕高田瑞穂、2009、『新釈 現代文』筑摩書房、88ページ、赤紫補足。
 私の〔言いたい〕「たった一つのこと」とは、入試現代文という断片的な表現に関する方法なのです。そしてそれは、一言にして言えば「追跡」ということです。どこどこまでも筆者を追跡するという方法です。われわれの前に一個の文章が置かれ、その最初の文字が目に映った瞬間から、活溌な問題意識と、生き生きした内面的運動感覚によって、筆者のことばを追跡することです。筆者は一体どんな問題を【意味】、どのように説くのであろうか【理由】。私は一体、「どこからどこへ」連れてゆかれるのであろうか。出発した以上、もうわれわれは恐れたり、引き返したりは出来ません。どこへでも、どこまでも、筆者とともに行くほかありません。その文の最後の一行の終わるところまで。そしてその文の終わったところで、無論われわれも立ち止まります。そして静かに、自分の位置を、自分の前後左右を、自分に近い過去と未来を見渡すのです。

〔問い〕以下の文章の内容を分析的に把握せよ。[ →大森荘蔵、1981、「論理的」ということ」、『流れとよどみ』産業図書、44-45ページ]。
 (前略)もちろん多くの場合はこのように簡単でない。その時々の話題によってその話題特有の言葉が登場する。ということは、それらの言葉の使用規則(つまり定義)が五つの基本語〔ない・かつ・または・すべて・存在する〕の規則に追加されるということである【意味・・・話題特有の言葉が登場するとは、どのような意味においてか、解説している】。しかしそれら追加された言葉同士の間の関係(つまり言葉による言葉の定義)もまた五つの基本語で表現することができるのである【話題の転換・・・特有の言葉が追加されたら、もっと複雑な関係が必要となってくるように思われるがそうでない】そうして表現されたものがその話題の「公理系」と呼ばれる。例えば、幾何学特有の言葉である、「点」、「直線」、「平面」、そしてある点がある直線の「上にある」、等の間の関係をすべて五つの基本語で書き表したものが平面幾何学の公理系なのである【例示による解説・・・五つの関係だけで特有の言葉の関係が表現できる。例えば平面幾何学では】
 しかしこうしたこみ入った場合でも「論理的に正しい」ということの基本的性格には変わりがない【話題の転換・・・平面幾何学のようにこみ入ってくると、新たな事実が付け加わるように思われるかもしれない。この予測は裏切られる】。「ここのお菓子はみんなお前のだ」と言うとき、それは「このお菓子はお前のもの」、「その隣のお菓子も お前のもの」、……といったことを言うことなのである。だからあらためて「このお菓子はお前のもの」と言うことは、もうすでに言ってしまったことを繰り返して言うことなのである【結論・・・新たな事実が付け加わるのではない故に、論理的なことは同じことの繰り返しなのである】。すでに一度述べたことをあらためて再度繰り返す、だから間違いっこない、だから論理的に正しいのである【結論、このことを言い換えると次の文になるだろう】。前提から帰結を正しく引き出すとは、五つの基本語の規則に従って前提ですでに述べたことを帰結で再度述べることなのである。


練習問題2・教科書を若干軌道修正しながら、やってゆきます
。文の論理構造の問題は、人によってちがう意見がたくさんでてくるでしょう。
〔課題〕
問1
 一、記号②の前に接続詞を入れるとしたらどのような接続詞が入るか。「なぜなら」以外の可能性を考えてみよ。
 二、記号⑤の文は②から④を根拠にして出てくるか。
 三、以上を前提にして接続構造の分析を行え。

問2
 一、記号①の文の内容は記号③の文の内容と同じか、それともちがうか。
 二、記号③の「販売力が弱体なら着想を他人に教えただけのことに」は記号①の文と同じになるから、記号①の文の内容が帰結するのではないか。
 三、記号④の文「このような方法が合理的である」ことの理由を⑤以下の文から二点要約して取り出せ。「データが有難い」とは「予測が難しいデータを得られることが貴重である」こと。
 四、記号④の後の「このような方法」と下線部「この方法」の指示対象のちがいを説明せよ。
 五、「この方法」が利巧な方法ということができないとしたら、それは販売力に十分の自信がないときである、と言えるか、言えないか。
問3
 一、記号②の例示となっているのは、③だけか、それとも③と④をともに含むか。
 二、記号⑤の文の理由となっているは④だけか、それとも②~④全体か。例示が、根拠の役割を果たすことに留意せよ。
 三、「このような帰結」の内容を例示抜きで述べよ。

〔宿題〕野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、課題問題3の問4

5. 論証を評価する 根拠(意味規定・事実認識・価値評価)[→教科書:野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、第4章 インターネット検索注意・書誌事項の挙げ方]
[授業目標]論証の根拠を自覚的に明示する

 何かを言おうとするなら、単なる言い換えにとどめたくないとして、根拠が必ず必要である。根拠には言葉の意味の定義:意味規定、事実の確定:事実認識、価値的な判断:価値評価の三種類がある。

 根拠が意味規定のみの場合、演繹という過程を辿って結論が導出される。ただし事実認識が根拠となる場合は、推測という過程を辿る点でちがってくる。
 「太陽は恒星である、ゆえに自ら輝く」。「太陽これまで朝になるとのぼってきた、ゆえに太陽は毎日のぼる」。ちがいが分かるかな(^^♪

意味規定の例:「国民の祝日とは、自由と平和を求めてやまない日本国民が、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日のことを言う」。
←https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC1000000178

〔問い〕配布した『社会システム論』の文章において、〈環境〉はどう定義されればよいか。
※ヒント:冗長でない表現で定義するように心掛ける(・・・冗長でないとは同じ言葉の繰り返しでないことです)。
 ex.冗長な定義:2の倍数とは、2で割り切れる偶数のことである。
 論文を書くとき、その論文に限定して、意味を定義する場合がある。例えば〈環境〉とは、システムの外部を指すといった場合。そのように「新しい」意味で使うさい、ヤマ括弧〈〉で括る。それに対して、従来から使われてきた意味で用いるさいは、カギ括弧「」で括る。実際、自分で例文を作ってみよう。
 ex.「環境」とは、人間や生物の周囲にあって、意識や行動の面でそれらと何らかの相互作用を及ぼしあうものである。
 ・
意味を区別して使いたいとき小文字の数字を添えることがある。
 ex.生態系主義1とは生態系の価値を人間存在の価値より重視する立場であり、生態系主義2とは生態系の価値と人間存在の価値を等しく捉える立場である、のように。生態系主義2は人間中心主義の変形かもしれません。
 ・個性的な定義では『三省堂新明解国語辞典』が群を抜く。

事実認識の例:商大で論理学を学んでいる学生の人数は少ない。
 ・単に辞書を引くだけでは分からないことを根拠にする場合。実地の調査・インターネットの検索ということが必要となってくる。引用にさいしては、細心の注意が必要である。→著者、出版年、書名、出版社、ページ数を明記する必要。インターネットの場合はURL/閲覧日。
 インターネットに書かれていることは、
六割は嘘というぐらいの心構えでいた方がよい。必ず元の資料にあたって、裏を取ることが必要。
 ex.wikipediaではバークリという哲学者を紹介するさい、esse est percipiという表現を使っているが、正しくは原文では、esse is percipiである。前者は「存在は知覚される」に対して、後者は「存在とは知覚されることである」を意味する。意味的に当たり前の前者ではなく、後者を表現したいなら、どうしてもisでなくてはならない。ちなみにwikiに関連して言えば、アメリカの大学で島原の乱に関する誤答が頻出したのはwikiのせいだという。

〔資料〕George Berkeley, 1949(←1734,17101), A Treatise concerning the Principles of Human Knowledge, London:Thomas Nelson and Sons Ltd.,PartⅠsection3.
 For,as to what is said of the absolute existence of unthinking things without any relation to their being perceived,that seems perfectly unintelligible.
Their esse is percipi,nor is it possible they should have any existence,out of the minds or thinking things which perceive them.

価値評価の例テロリズムに対しては、断固とした報復がなされるべきである。
 ・価値評価に対しては、前提に対する拒否という、態度が考えられる。そのさい、異なる価値評価を提出することが必要である。

〔課題〕上のテロリズムに関する価値評価を拒否するとしたら、どのような代わりの評価があるだろうか。価値評価の根拠をさらにさかのぼり、その各々の(価値評価の)根拠に対して異なる価値評価を考えなさい。

〔補足〕書誌事項の掲げ方↓著者・訳者、刊行年、書名・論文名(雑誌名・巻・号)、ページ数。〔問い〕どの項目が、著者・訳者・刊行年・書名・巻号・頁数に該当するか。

ex. ここでパウンドストーンによる定式化を借り、広い文脈で考えよう(パウンドストーン,1995,277ページ以下)。二人とも協調して、協力し合った場合の、片方の利益をCCとする。二人とも裏切って、裏切り合った場合の、片方の利益をDDとする。片方が出し抜いたとして、協調的な側のプレーヤーの利益をCDとし、裏切った側のプレーヤーの利益をDCとする。これらに対応する選好順序は4!=24通りである(ただし相手も同じ選好を取るとする。もしそうとは限らなければ242通り)。次の二つの見込みが成立つ。①自分が協調したとき、相手も協調してくれると大きな利益を得られるから、CC>CD。②自分が裏切っても、相手に協調を求めるものだから、DC>DD。この条件を充たすものは24通りの半分の半分、つまり以下の6通りである。
DC>CC>DD>CD 囚人のジレンマ(タイプα)
CC>DC>DD>CD 鹿狩りゲーム(タイプβ)
CC>CD>DC>DD タイプβ'
CC>DC>CD>DD タイプβ''
DC>CC>CD>DD チキンゲーム(タイプγ)
DC>DD>CC>CD 行き詰まりゲーム(タイプδ)
 タイプβ・β'・β''・γにおいては、CC>DCかまたはCD>DDだから協調選択をするなら、得るものがある。とりわけタイプβ'はセンがOR選好と呼び、協調への強い促しをもつ。しかし、例えばバイア(Baier,K.,1977)は個人にとってCCより割の合わないCDを、相対的に高く評価しているがゆえに非合理的だと考えた。同様の理由から、これらβ'・β''・γは非合理的と見られることになるだろう。逆の見方をすれば、個人にとってDDより望ましいDCを、相対的に低く評価するβ・β'・β''を、非合理的と見なす論者もいるかもしれない。ここでは合理的か疑わしいβ'・β''(「弱すぎる目的合理性ゲーム」)を脇に置こう。
〔文献一覧〕
 Baier, Kurt, 1977, "Rationality and Morality", Erkenntnis, Vol. 11(1), S.197-223.
 Poundstone, William, 1992, Prisoner's Dilemma, New York: Doubleday. (1995、松浦俊輔訳、『囚人のジレンマ』青土社。)

★引用・注・参考文献
引用するさいは、必ず引用符号をつけましょう。無断引用は犯罪です。また、自分の主張が主で、引用が従の関係になっているか注意しましょう。慶應義塾大学教養研究センターの動画参照。→必ず視聴のこと:
https://www.youtube.com/watch?v=IxM1e4W1S8I
要約して引用する場合も、自分の主張と要約の部分とが、区別されていない場合は無断引用と同罪と見なされます。
分かりにくい言葉には注をできるだけ付けましょう。注がついていない場合は、基本的に口頭試問で答えられる程度の場合だけです。ただし対象分野で、常識に類することは、あえて引用を付けなくてもいい場合があります。例えば自然数とは何か、刑法とは何か、のような場合、注の省略は認められます。
参考文献を使った場合は、典拠として、出版物の書誌事項、サイトのURL・閲覧日を書かなくてはなりません。番号を付けてレポート末に典拠を明示しましょう。参考リンクを張っておきます。

参考文献の書き方と表記実例。本や雑誌、ネットサイトを引用したいときの書き方 - Latte
参考文献の書き方は? レポート・卒論を書く前に知っておきたい基本のルール | 大学入学・新生活 | テスト・レポート対策 | マイナビ 学生の窓口 (mynavi.jp)

単行本の場合は、著者名(翻訳者名)、出版年、『書名』、出版社、頁数。雑誌の場合は、「執筆論文の題名」、雑誌の巻号が必要になります。
サイトの場合は、URL、閲覧日。サイト名を偽るような悪質なことをやってはいけません。
文中に番号(1)を打ち、レポート末に詳しい情報を載せましょう。文末の注の例 (1) 押野武志、2000、『宮沢賢治の美学』、翰林書房、141ページ。

6. 導出の適切さ [→教科書:野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、第4章]
[授業目標]導出にあたっての適切さを確かめるため、「あえて反論する」トレーニングにチャレンジする

 前提を自覚する:何が前提かによって結論が変わってくる。
 前提に対する感覚を磨こう。

例:囚人のジレンマにおいて、弟が自白したとき、自白したほうが都合がよい。また弟が黙秘したとき、自白した方が都合がよい。つまり私にとって、自白が一番よいと考えられる。弟の方でもそう考えるだろうから、双方は自白すべきである(罪の軽減という短期的利益を前提)。もしくは、相手との利得の差ができるだけ顕著になるよう、意図するなら、自白が優先されるかもしれない。・・・前提によって結論が変わってくる典型的な例。なお囚人のジレンマの例としては、基本形以外にもバリエーションがあるから、それぞれ検討しておこう。→三浦俊彦、2002、『論理パラドクス――論証力を磨く99問』二見書房、163-166ページ。以下の表の得点は、三浦からとった。

私\弟 自白 黙秘
自白 懲役五年実刑 釈放+一億円
黙秘 終身刑 執行猶予つきの懲役一年

 仮に上のことを認めたとしても今、犯罪が完結しておらず、双方ともに、犯罪の続きを繰り返そうと思っていたとする。それなら早く出所できる執行猶予付きの懲役一年という方が、犯罪(共同行為)を継続できるという、利益が得られるから、より望ましいとは言えないか(共同行為の継続という長期的利益を前提・こちらの方が「道徳的に」推奨される二人共同体の協力)
 再犯が可能な点(共に最善の行為を目指すという点)でも黙秘し合うのが、望ましいだろう。https://www.youtube.com/watch?v=7ZpQcGLLrE4

〔課題〕終身刑ではなく、死刑であったら、貴方は自白するか・黙秘するか。one shotゲームの問題。
〔課題〕繰り返しの無限回の囚人のジレンマで、相手がトリガー戦略を採るとしたら、自白すべきか、それとも黙秘すべきか[→岡田章、1996、『ゲーム理論』有斐閣、207-208ページ]
〔課題〕最悪の選択肢を避けるという前提では、何を選ぶべきか。


導出の関連性が強いかどうかは、前提を認めたうえで、結論が成り立つか調べて見るとよい。〔導出の関連性とは何かな?教科書を読んでみよう。〕

あえて反論するという手続きが有効である。前提を認めたうえでなお、結論には達しないことを示すことが、導出の関連性を調べるためには有効。教科書の解説を熟読しておくこと。


例:男女の生理的な特徴はちがう。したがって、雇用に当たって、その特徴を考慮した上で、男女間に格差が生じることはやむをえない。
あえて反論する→たしかに男女の生理的な特徴はちがう。したがって、業務を行う上で片方の性別でなければならないならば(守衛・モデル等)、雇用に制限されることはあるかもしれない。しかし、両性は、法的権利を斉しくもつものであるから、生理的特徴から推測される顕著な、差異に基づく雇用にあっての例外を除いて、可能な限り雇用機会の均等が保障されなくてはならない。

例:デモは常に暴徒と化す可能性を孕んでいる。ゆえに公共の福祉の観点から、デモは許可制にすべきである。
あえて反論する→〔非暴力のデモもあるから、かなり前提は疑わしい。しかし〕仮に常に暴徒と化す危険性を含んでいるとしよう。しかし、許可制が唯一の制約手段ではなく、届出制にすればある程度、デモの暴徒化を抑制する効果を期待できる。また仮に届出なしととしても、隊列の幅の制限・橋梁の占拠の禁止等、暴徒化を防ぐための手段は他にも考えられる。

〔問い〕野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、課題問題4の問6、問7をやること。

7. 演繹と推測のちがい 隠れた原因・統計処理[→教科書:野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、第5章]
[授業目標]演繹と推測のちがいを理解する

〔問い〕野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、練習問題5の問1。

例えば「三角形の内角の和は2直角である」を確かめるにはどうするでしょうか。まず分度器をあてて足し算をするでしょうか。そんな、経験に訴えることはしません。三角形全部においてどうして正しいの?と聞かれたらどうします?無限個ある三角形を全部描いてみたの?と貴方が家庭教師をしている生徒に聞かれたとします。そんなコトできっこないよ、と答えるのが関の山でしょう。じゃあ、どうしてぜんぶ必ずそうだって分かるの、と生徒に聞かれたら。[→野矢茂樹、1994、『論理学』東京大学出版、2-5ページ。当該箇所にはよりエキサイティングな解説が書かれています。]
恐らく貴方は証明してみることでしょう(補助線を書く)。「ほら証明してみたじゃないか」と答えようとします。しかし、貴方の教え子はひるみません。でもこの三角形でしか証明してくれてないよ。お手上げです。・・・この問題は、実は悩ましく、数学におけるルールが底なしであることを示唆しています。
そもそも一個一個確かめようとしたのが間違いだったのでは?
演繹とは意味が関わる導出のことです。例えば「三角形は三つの辺をもっている」ことを正当化するのは意味そのものです
 それに対して推測とは「意味だけからは導出されないような事実を導く」ことで、帰納的推論「昨日も、おとついも、さきおとついも、太陽は東から昇った。故に常に太陽は東から昇る」がその典型です。

〔問い〕以下の五つの事例は、演繹と推測のどちらに当たるか、今までの事柄を参考にして、考えてみてください。[→野矢茂樹、1997、『論理トレーニング〔旧版〕』産業図書より改変。]演繹を選んで解答してください。
一、彼女は憎まれ屋だから、彼女を好きな人間は、彼女自身を除いて誰もいないさ。
二、西の空に虹がかかっている。雨だったのかもしれない。
三、消防官は地方公務員だから、国家公務員試験に合格する必要はない。
四、彼女は今、お風呂に入っているみたいだ。帰ったばかりの彼女宅に、電話したけど誰も出なかったもの。
五、コロナだったPCR検査にひっかかるはずでしょう。でもひっかりませんでした。だから、コロナじゃないと思うんだけど。

※教科書例題2には深入りしません。箇条書きに要点をまとめておけば、
一、証拠によって仮説が形成されます(解説によっては仮説は帰納法によって得られるとしているものもあります・とくにパラダイム論という見方から、帰納法の限界が指摘されています)。仮説形成は厳密な演繹で導かれるものではありません。
二、逆に仮説や前提によって証拠が説明されます。
 帰納的推論とは、推測の一種である。
 普遍的な法則を推測するさい、もちいられるのが帰納法なのに対して、(個別的な)条件にあたる事実を推測するさい、もちいられるのが仮説形成です。

〔問い〕食塩は温度20℃ではたいてい湿度75%以上なら潮解性を示す。(ならばを使うと「温度20℃ならば「湿度75%以上ならばこの食塩は潮解性を示す」。
 「この食塩が今、潮解性を示さないという証拠」からどのような仮説が形成されますか。そのさい前提となって働いているのは? またその仮説を補強するにはどのような証拠をさらに加える必要がありますか
ヒント:湿度の測り方?

〔問い〕「地面が濡れている」として、「先ほど雨が降った」とは異なる仮説を作ってみよ。また「先ほど雨が降った」を根拠に、「地面が濡れている」と主張できるか、検討してみよ。

〔問い〕「酒場「悲の器」は交歓会に適している」という仮説形成(推測)を支持する論拠をできるだけたくさん作りなさい。

〔問い〕キリギリスはひと月働くと3000ドルもらえる。ではキリギリスの年収は、優に3万ドルをくだらない、と言えるか。

〔課題〕ドーナッツ店に足繁く通っていた、大学生のX子さん、Y子さんたちは、生理不順に見舞われた。ということは、ドーナッツが生理不順の原因と言えるか。若い子の生活パターンを考慮して、別の因果関係を考えよ。

〔問い〕雑誌社は選挙の事前に、有権者から折り込みはがきで選挙動静の調査を行った。しかしながら、帰ってきたはがきの、勢力分布とは全く異なる選挙結果となった。どのような理由が考えられるか。世論調査 - ギャラップ調査 - Weblio辞書

8. 仮説を評価する[→教科書:野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、第5章]
[授業目標]説明力が豊かな仮説を形成する

〔問い〕野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、79ページ。例題3を解け。「なぜ?」と問われている事実が証拠である。①から③は前提であって、それじたいは問われている証拠でない。証拠こそが仮説によって説明が試みられる。そのさい証拠を説明する仮説が複数考えられることがある。仮説を強固にするためには、他の仮説を排除しなくてはならない。

〔例題〕「福島第一原発2号機は冷温停止している」という仮説と競合する、他の仮説を提示しなさい。どちらの仮説が消去されるか、その理由と共に述べなさい。冷温停止をめぐる科学的問題。
 冷温停止とは(=知恵蔵2013の解説.に拠ると)核分裂を抑制し、核分裂が一定の割合で持続するという臨界状態から脱却させ、温度を下げて安全に原子炉を停止させること。
 原子炉は、制御棒(核分裂によって生まれる中性子を吸収する素材でできている)を核燃料の間に挿入し、核分裂の連鎖反応を抑制することで停止させることができる。制御棒の挿入で、臨界を脱すると、原子炉の出力は低下し、炉心の温度も下がる。
 日本の商用原子炉で採用されている軽水炉では、減速材(中性子が核燃料と効率良く反応するように速度を下げるためのもの)として軽水(普通の水)を利用する。同時に、原子炉から熱を取り出す冷却材としても水を用いている。水の沸点が100度であるのに対して、定常運転中の原子炉の炉心温度は300度前後になる。燃料棒交換などに際しては、炉内の水の温度が100度未満となり、継続的で安定した冷却が保たれ、放射性物質が放出されない状態にする必要がある。この状態を維持することを「冷温停止」という。原子炉って、冷温でも停止しないのですか? - .本日、福島第一原子力発電所... - Yahoo!知恵袋 
 
【ポイント】①仮説は証拠を説明する。仮説と暗黙の前提から、論理的に証拠が演繹されなくてはならない。
例・・・「福島第一原発2号機は冷温停止している」(仮説)+原子炉の温度計は正常な機能を果たしている(前提)→原子炉の温度計は100度未満の値を示すと予想される。実際、2013/3/1現在、圧力容器底部温度計は31.6℃の値を示している(証拠)。
 仮説と前提(暗黙的なかたちが多い)から証拠を導くのは演繹である。
 証拠から仮説を導くのは推測である。仮に証拠が正しいとしても他の仮説は存在しうる。

 
たとえ100度以下の温度に原子炉内が一時的になったとしても安定的に核分裂は抑制されておらず、核分裂の速度が低減したこと(=冷温停止していないこと、例えば75度程度だと持続的に低減したと判断しづらい)は考えられる。この冷温停止していないという他の仮説、つまり一時的な低減を消去するためには、中性子線観測機器の指標を手掛かりにしなくてはならない。
 仮に証拠が正しいとしても、前提が違えば他の仮説が存在しうる。すなわち31.6℃の値を示す原子炉の温度計が破損しておれば、冷温停止していないことも考えられる。
【ポイント】②証拠は仮説をつくり出す。原子炉の温度計は100度未満の値を示しているなら、おそらく冷温停止しているだろうと仮説が形成され、しかも推測される。(仮説形成の推測たるゆえんである)

 前提は証拠と仮説が共通して、根拠とするもの。
 証拠は仮説と前提から演繹されるもの。・・・この辺り難解なので教科書を熟読しておくこと。

〔問い〕「昨日、寝付けなっかた。ストレスが溜まっているらしい」。このことを確かめるためには、どのような他の仮説を排除しなくてはいけないか。他の仮説を排除する方法、もしくはこの仮説を確かめる方法を考察しなさい。

〔問い〕野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、練習問題5の問3を解きなさい。
〔問い〕野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、課題問題5の問6を解きなさい。

〔課題〕次の文章を読み、仮にこの文章が正しいとした場合に、以下の推測を検討しなさい。
 「最近、あるダイバーによって、日本海沿岸に巨大な洞窟が発見された。その洞窟へは海中にあるトンネルを通ってしか行くことができない。洞窟の中は完全に海水で満たされており、巨大な石筍が何本も立っていた。この石筍は、洞窟内のある一地点に水滴が何年にもわたって落ち続けることでできた、ミネラルの堆積物である」。ここから、「現在、洞窟の中の水位は以前よりも高い」と推測できるか。
[→伊藤真監修、2003、『適性試験トレーニング問題集』中経出版、59ページより改変。]

9. 演繹1 否定とド・モルガンの法則[→教科書:野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、第7章]
[授業目標]否定の基本とド・モルガンの法則を学ぶ

 Aの否定はAにたいして中立と反対の可能性からなる。

義務should(must)の否定: 許容(中立)+禁止must not(反対) must notに対しmay notの不許可が使われる場合がある。
ドイツ語の場合、必然的義務müssen(「必要がある」)の否定は禁止nicht dürfen (nicht müssenは「必要がない」)

ex.You must not miss such a good chance.
ex.You should refrain from judging others hastly.

必然mustの否定:可能(中立)+否定の必然cannnot(反対)  注意:必然のかわりに当然になったりする。
ex.Your letter must have reached him by this time.
ex.The rumour can not be true.=The rumour must be false.

〔問い〕以下の問いに答えよ。
①太郎は臆病でも向こう見ずでもないはどうなるか。
②太郎は臆病というわけではないと、太郎は臆病でも向こう見ずでもないは両立可能か。
③太郎は勇敢であるであると、太郎は向こう見ずであるは両立可能か。

〔勉強のすすめ〕左右の文が同じ意味になるよう、空所に1語入れよ。
I'm sure you were surprised to hear of his marriage.=You (  )(  )(  ) surprised to hear of his marriage.
It is impossible that he has done the work for himself.=He (  )(  )done the work for himself.

〔課題〕中立にあたる徳を挙げよ[→アリストテレス著/高田三郎訳、1971、『二コマコス倫理学』岩波文庫]。このような中間の徳を中庸という。中庸は中間ということを考えるさいに役に立つ。ネットで検索してみよう。
肉体的快楽に関する放埓と無感覚・怒りに関する癇癪と意気地なし・状態に関する虚飾と卑下

「Aかつ B」というような文=連言文
「かつ」で代表されるような接続関係を連言と呼ぶ。

「Aまたは B」というような文=選言文
「または」で代表されるような接続関係を選言と呼ぶ。

■ド・モルガンの法則
(PかつQ)でない=(Pでない)または(Qでない)  下表の緑の可能性
(PまたはQ)でない=(Pでない)かつ(Qでない)  下表の黄の可能性
〔問い〕P、Qに対応する「真理集合」(つまり命題P,Qが成り立つ可能世界:この考え方は難しいから理解できずともよい)が交わりをもっているとして、ド・モルガンの法則をベン図で確かめよ。

Qである Qでない
Pである
Pでない
   
Qである Qでない
Pである
Pでない

〔問い〕「太郎はピーマンか宇治原が好きである」を、ド・モルガンの法則を使って否定せよ。
〔問い〕「太郎はピーマンが好きであり、かつ宇治原を慕っていない」を、ド・モルガンの法則を使って否定せよ。
〔問い〕「年度初めは4月1日であり、かつ嘘をついてもよい日である」を、ド・モルガンの法則を使って否定せよ。
〔問い〕「4月1日は嘘をついてもよい日であるか、嘘で災難にあう日である」を、ド・モルガンの法則を使って否定せよ。

〔宿題〕姉のいない生徒には、兄か弟がいる。妹のいる生徒には、兄も姉もいない。ゆえに妹のいる生徒には弟がいる、を正しく導けるか。
→選言的三段論法がうまく使えるか。「AまたはB かつ Bでない ならば Aである」。
〔宿題〕以下の推論は正しいか[→野崎昭弘、1976、『詭弁論理学』中公新書、113ページより改変]
① ストーン・ブレインは科学者か芸術家である。ストーン・ブレインは科学者である。ゆえにストーン・ブレインは芸術家でない。
② ストーン・ブレインは科学者か芸術家である。ストーン・ブレインは科学者でない。ゆえにストーン・ブレインは芸術家である。

10.演繹2 述語論理学の基礎[→教科書:野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、第7章]
[授業目標]三段論法の基本を学ぶ

 (すべての男は怠慢である)ということはない。=或る男は怠慢でない。(男のなかには怠慢でないものが存在する)
 (或る男は怠慢である)ということはない。(男のなかには怠慢であるものが存在しない)=すべての男は怠慢でない。
 すべてのPはQでない、と(すべてのPはQである)ではない、はちがう。
 或るPがQでない(PのなかにはQでないものが存在する)、と(或るPがQである=PのなかにはQであるものが存在する)ではない、はちがう。
 全称の否定=否定の存在  (すべてのPはQである)ではない=或るPがQでない
 存在の否定=全称の否定  (或るPがQである)ではない=すべてのPはQでない

 すべてのPはQである(A型)=すべてのxについてPxならばQx
 すべてのPはQでない(E型)=すべてのxについてPxならば(Qxでない)
 或るPがQである(I型)=或るxについてPxかつQx
 或るPがQでない(O型)=或るxについてPxかつ(Qxでない)
という四つの型の呼び方は、ラテン語の「肯定する」affirmo,「否定する」negoの母音に由来する。A:全称肯定 I:特称肯定 E:全称否定 O:特称否定

 なおここではアリストテレス論理学が密輸入していた存在仮定を、前提にして話を進める(フレーゲ以降の現代の標準論理では、ちゃんと存在仮定を明記すべきとされている)ため、以下のような表記を取ることもある。
或るSはPである=SのなかにはPであるものが存在する
或るSはPではない=SのなかにはPでないものが存在する

 すべてのPはQである(A型)の否定=或るPがQでない(O型)
 或るPがQである(I型)の否定=すべてのPはQでない(E型)

1挌 M-P S-M├ S-P
2挌 P-M S-M├ S-P
3挌 M-P M-S├ S-P
4挌
 P-M M-S├ S-P

〔問い〕以下の三段論法に合う例を考えよ。補足:可能な3段論法のパターン。4格あって、大前提・小前提・結論が4×4×4とおり。よって可能なパターンは356とおおり。
(2格E-I-O)Festino すべてのPはMでない。或るSはMである。或るSはPでない。
(3格E-A-O)Felapton すべてのMはPでない。すべてのMはSである。或るSはPでない。
(3格O-A-O)Bocardo 或るMはPでない。すべてのMはSである。或るSはPでない
(3格E-I-O)Ferison すべてのMはPでない。或るMはSである。或るSはPでない。
(4格E-A-O)Fesapo すべてのPはMでない。すべてのMはSである。或るSはPでない。

〔課題〕
①すべての倫理学者は倫理的である、の否定を作れ。
②或る倫理学者は倫理的である、の否定を作れ。
③すべての日本人は白人でない、と同じ主張をすべての白人を主語にして述べよ。
④或る食品は危険物である、と同じ主張を或る危険物を主語にして述べよ。

〔問い〕・・・否定は反対と中立からなるという見地から解いてください。
①美しい人は、早死にする(佳人薄命)、の反対を作れ。
②倫理学者は、態度がでかい、の中立を作れ。
③努力は、必ず報われる、の否定を作れ(努力が報われない+努力が報われる場合もあるし、報われない場合もある)

〔例題〕野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、練習問題7の問6。

〔勉強のすすめ〕すべての京風雑煮はカツオだしではない。京風雑煮の中には、くわいの入っているものがある。くわいの入っている京風雑煮の中にはカツオだしでないものがある。正しい推論かベン図で確かめよ。

〔問い〕×がAさんのとき
(1)Aさんは独身ですか。
(2)Aさんは仮面ライダーのファンですか。
(3)Aさんは大学生ですか。
(4)Aさんは配偶者はいますか。
(5)AさんはOLですか。
(6)Aさんは小芝風花さんですか。
  

11.演繹3  逆・裏・対偶 「のときだけ」の文法[→教科書:野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、第8章]
[授業目標]条件構造をもった文章の逆・裏・対偶を作ることができる

■逆・裏・対偶
逆・裏は必ずしも真でない。「ペンギンは海を泳げる」の
逆:「海を泳げるならばペンギンである」は偽
裏:「ペンギンでなければ海を泳げない」は偽
対偶:「海を泳げなければペンギンでない」は真
※注意:逆の逆、裏の裏、対偶の対偶はもとの命題に戻る。
※注意:もとの命題と対偶の真偽は一致する。たまたま逆・裏の真偽がもとの命題と一致することはある。ex.三角形は3辺をもつ多角形である。逆:3辺をもつ多角形は三角形である。裏:三角形でなければ3辺をもたない。

 条件構造をもつ命題だけが、逆・裏・対偶を作れる→存在文は逆・裏・対偶を作れない。

ペンギンはすべて寒流を泳ぐ、というわけではない。=ペンギンの中には寒流を泳がないものがいる。・・・こうした文章には条件構造は認められない。この場合、存在文の構造をもっているという。

〔問い〕「信号機が赤ならば進んでいけない」の逆・裏・対偶を述べよ(便宜上、先と紛らわしいが、「信号機が赤」を命題Aと置き、「進んでいけない」を命題Bと置く)。便宜的に、「止まれ」の黄も進むことを許容していないものと解しておく。

〔問い〕野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、119ページ、例題2。

〔問い〕「文系の人は論理に弱い。O教授は論理に弱い。ゆえにO教授は文系である。」という推論が誤っている理由を述べなさい。ただしこのさい、O教授が集合ではなく、個体であることに注意しなさい。

〔問い〕「日本が気の緩んだ平和な時代ならば、日本の犯罪件数は増加している」の前提、結論を検討し、この条件法の真偽を述べよ。「日本の犯罪件数が増加しているなら、日本は社会的不安が増す一方である」の前提、結論を検討し、この条件法の真偽を述べよ。ただし、「日本が気の緩んだ平和な時代である」は真、「日本は社会的不安が増す一方である」は偽とする。(日本の犯罪件数は増加しているかは、統計により自分で調べなさい

〔問い〕「単位を修得しているなら、履修登録している」の逆は正しいか。

〔問い〕「インフレならば、物価が上がる。アベノミクスが成功しているならば、インフレである。物価が上がるなら、アベノミクスが成功している。」という推論が誤っている理由を述べなさい。

 対偶は、もとの命題と真偽が一蓮托生である→対偶をチェックして偽ならば、もとの条件法は偽である。

〔問い〕「魚でないならクジラでない」は正しいか。対偶を作り、チェックしなさい。⇔対偶「クジラは魚である」

〔問い〕「結婚していないなら未亡人である」は正しいか。対偶を作り、チェックしなさい。⇔対偶「未亡人でないなら結婚している」(男やもめは結婚しているだろうか?)

メアリーはジョンのいる時だけ、ピアノを弾く。
・・・ピアノを弾いているなら、ジョンのいる時です。しかしジョンがいても、メアリーはピアノを弾く代わりに、トランプをしていたとしても、「メアリーはジョンのいる時だけ、ピアノを弾く」と矛盾しません。したがって「ジョンがいるならメアリーはピアノを弾く」という条件法は成り立たず、逆に「メアリーがピアノを弾くならジョンがいる時である」という条件法が成立するでしょう。

〔課題〕あるレコード会社のサイトで「アンケートに答えてくれた方のみ、弊社所属のアーティストによる限定版CDを販売いたします」との告知があった。アンケートに答えたある人XがインターネットでそのCDの購入を申し込んだところ、「販売できない」との返信があり「詐欺だ」と腹を立てた。この人は腹を立てているが、詐欺として訴える理由にならないことを論理的な観点から指摘せよ。またこの人が腹を立てても仕方がない面があるとすると、レコード会社の対応のどのような点が不適切だからなのかを述べなさい。[→鈴木美佐子、2004、『論理的思考の技法Ⅰ』法学書院、68ページより改変。]

〔解・部分〕「アンケートに答えてくれた方のみ、弊社所属のアーティストによる限定版CDを販売いたします」=「弊社所属のアーティストによる限定版CDを販売します方は、アンケートに答えてくれた方です」。

〔勉強のすすめ〕「中身と分離した時に不要にならないものは、容器包装ではない」を「のみ」を使って言い直せ。[→野矢茂樹、2001、『論理トレーニング101題』産業図書、問67より一部改変。]

※注意:限りは論理的に難しい→「この図形は三つの等しい角をもつときに限り、正三角形となる」。「あなたが生きている限り、私はあなたのそばを離れない」。同じ「限り」をもつ文章でも、論理構造が違ってくる。

日本国憲法第13条を以下のように訳しているものもあります。Article 13. All of the people shall be respected as individuals. Their right to life, liberty, and the pursuit of happiness shall, to the extent that it does not interfere with the public welfare, be the supreme consideration in legislation and in other governmental affairs.

12.演繹4 条件連鎖のトレーニング[→教科書:野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、第8章]
[授業目標]条件連鎖の問題に慣れる

〔問い〕以下の推論は正しいか。
論理的な人は理屈っぽい。淡泊な人は理屈っぽくない。それゆえ淡泊な人は論理的ではない。   正・誤  
論理的な人は理屈っぽい。理屈っぽくない人は淡泊である。それゆえ論理的でない人は淡泊である。    正・誤  

〔課題〕以下の推論は正しいか。
 認識がア・プリオリでないならば、それは経験的判断である。認識がア・プリオリでないならば、それは必然的でない。それゆえ、経験的判断は必然的でない。 正・誤  
 ヒント:認識がア・プリオリでないならば、それは経験的判断である。これから、認識が経験的判断にであれば、ア・プリオリでない、を導いてもかまわないか。
 
〔問い〕→田辺勉、2001、『標準 判断推理』実務教育出版、5ページ、【例題1-2】を解くこと。
 
補足:AならばB、AならばCから、Aならば(BかつC)が言えること。
Aを仮定するとB、Aを仮定するとC、BとCからBかつCが導かれる。故にAならば(BかつC)。
 
Aならば(BかつC)から、AならばBが言えること。
Aならば(BかつC)から、
Aを仮定するとBかつC。BかつCからBが導かれる。故にAならばB。
 
AならばC、BならばCから、(AまたはB)ならばCが言えること。
AならばC、BならばCから
CでないならばAでない、CでないならばBでない。Cでないを仮定するとAでなくかつBでない。故にCでなければAでなく、かつBでない。故に
対偶とド・モルガンの法則より、(AまたはB)ならばC。
 
(AまたはB)ならばCから、AならばCが言えること。
(AまたはB)ならばC、の対偶を取ると、CでなければAでなくかつBでない。①
Cでないを仮定。前件肯定式と①よりAでなくBでない。②
連言取りと②よりAでない。条件法入れよりCでなければAでない。③
③の対偶を取るとAならばCが言える。
 
〔問い〕→田辺勉、2001、『標準 判断推理』実務教育出版、6ページ、【例題1-4】を解くこと。

〔勉強のすすめ〕以下の推論は正しいか。[ →W・V・O・クワイン著、中村秀吉他訳、1978、『論理学の方法 原著3版』岩波書店、103ページより改変。]クワインはハーバード大学の先生。君もハーバード大学に挑戦だ。
一、会社の株をもっている証人は従業員である。証人は従業員か会社の株をもっている。ゆえに証人は従業員である[→選言取り・いずれにせよ論法を使う]。
二、ヨーロッパ産スワンは黒くない。黒いスワンはヨーロッパ産である。ゆえにスワンは黒くない[→背理法を用いて証明せよ]。

13.小復習
[授業目標]これまでやってきた演繹の問題を復習する

判断推理問題集

〔課題〕課題問題8問8・問9を解くこと。

14.推論の技術[→教科書:野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、第9章] 予習してくること
[授業目標]推論の技術を磨く 以下、野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書からの改作である。

(全称と存在の推論)
 条件構造をもたない存在文がある場合、その個体をα、β、γ…等各々名前を付ける。
 ①殺人を好む者は倫理的でない。
 ②ある倫理学者は殺人を好む。
 ②より殺人を好む倫理学者をαとする。
 ③αは殺人を好む。
 ①・③より
 ④αは倫理的でない。
 ④から以下が推論される。
 ⑤倫理学者の中には倫理的でないものがいる。

(消去法)
 いまAでなく、さらにAまたはBであるとしよう。とするとであることが推論できる。
 ①おもしろくてためになる授業なら、向学心がおこる。
 ②向学心のおこる授業なら、大学に通いたくなる。
 ③おもしろいが、大学に通いたくない授業ならためにならない。
 ①・②から③を導きたいとき、③A→BのAを仮定しBを導く。
 すなわち④、ある授業がおもしろいが、大学に通いたくないを仮定する。
 ②の対偶より
 ⑤大学に通いたくない授業は、向学心がおこらない。
 ④・⑤より
 ⑥ある授業がおもしろいが、向学心がおこらない。
 ①の対偶より
 ⑦向学心のおこらない授業は、おもしろくないかためにならない。
 ⑥・⑦より
 ⑧その授業がためにならない。
 ④・⑧より③が導かれた。

 では応用問題をやって見よう。
 ①算数も理科も好きな児童は社会が好きではなかった。
 ②国語が好きな児童だけが理科が好きでなかった。
 ③国語が好きではないが社会が好きな児童がいた。
 それゆえ ④国語も算数も好きではないという児童がいた。
 この推論が正しいことを示そう。

 ③は存在文なので、
 ⑤国語が好きではないが社会が好きな児童をβとおく。
 ①の対偶より
 ⑥社会が好きな児童は算数か理科が好きではなかった。
 ⑤⑥より
 ⑦βは算数か理科が好きではなかった。
 ②より
 ⑧理科が好きでなかった児童は国語が好きだった。
 ⑦・⑧より
 ⑨βは算数が好きでなかったか国語が好きだった。
 ⑤より
 ⑩βは国語が好きではなかった。
 ⑨・⑩より(消去法)
 ⑪βは算数が好きではなかった。
 ⑩・⑪より
 ⑫βは国語も算数も好きではなかった。
 したがって①・②・③より④が推論された。

(背理法)
 A,B,Cの三軒の米屋があり開店状況は次のようである。
 このときA店は毎日閉店していることを背理法によって証明するには、結論を否定して矛盾が生じることを示せばよい。

 ①他の二店がともに閉店の日はA店は閉まっている。
 ②A店が開店かB店が閉店の日はC店は閉まっている。
 ③他の二店のどちらかが開店の日はB店は閉まっている。

 さてA店は毎日閉店していることを否定して仮定する。すなわち
 ④A店は毎日閉店しているとは限らない。
 ④より
 ⑤A店の開店している日をγとする。
 ①の対偶より
 ⑥A店が閉まっていない日は他の二店のいずれかが閉店していない。
 ⑥を言い換えると
 ⑦A店が開店している日はB店かまたはC店が開店している。
 ②より
 ⑧A店が開店している日はC店は閉まっている。
 ⑦・⑧より
 ⑨A店が開店している日はB店が開店しC店が閉まっている。
 ⑤・⑨より
 ⑩γはA店とB店が開店しC店が閉まっている。
 ⑪γは他の二店のどちらかが開店しB店が開店している。
 ③と⑪は
矛盾。よって仮定が誤り。
 「A店は毎日閉店している」が証明された。

〔勉強のすすめ〕以下が成り立つことを背理法によって証明せよ。[→W・V・O・クワイン著、中村秀吉他訳、1978、『論理学の方法 原著3版』岩波書店、49ページより改変。]
品目がインタープレックスであったなら、それは正月以来すえつけられていたのであり、または品目がインタープレックスでなかったら、会社には責任はない。
〔解〕「品目がインタープレックスであったなら、それは正月以来すえつけられていたのであり、または品目がインタープレックスでなかったら、会社には責任はない」のではないと仮定する。
ゆえに「品目がインタープレックスであったなら、それは正月以来すえつけられていた」①のではなく、かつ「品目がインタープレックスでなかったら、会社には責任はない」②のではない。
①より「品目はインタープレックスであり、かつそれは正月以来すえつけられていたのではない」。故に「品目はインタープレックスである」③。
②より「品目がインタープレックスでなく、かつ会社には責任がある」。故に「品目はインタープレックスでない」④。
③と④は矛盾。よって「品目がインタープレックスであったなら、それは正月以来すえつけられていたのであり、または品目がインタープレックスでなかったら、会社には責任はない」は正しい。

※補足〔課題〕同じ論理で、神を信じていれば天国に行ける、または神を信じていなければ神様に救ってもらえる、も正しいことになります。このことについて説明してください。

15.異論と批判[→教科書:野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、第10章 有事法制案の新聞社説を検討する]
[授業目標]批判的観点から議論を組み立てる。

 「文章は、どういう意味で【意味】、何を根拠にして【理由】を軸にして構成されている。
 さらに文章の流れが同じ方向を向いているべきときに、飛躍や不整合を犯していない【あわせて首尾一貫性と呼ぼう】かどうかが、問われなくてはならない」。

〔問い〕野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』149ページ、例題1。同、153ページ、例題2。同、154ページ、例題3。

教科書152ページにおおよそ準拠して、相手の結論に反対することを異論、相手の論証部分を吟味することを批判と呼ぶとすれば、
 異論 - ・批判 -  =同調
 異論 - ・批判 +  =建設的批判
 異論 + ・批判 -  =不毛な異論
 異論 + ・批判 +  =「創論」~このような場合普通、異説と呼ばれる
建設的批判や「創論」のように、論証部分に光を当てることが望ましい。

〔課題〕以下の新聞社説を論評せよ。出典:朝日新聞

「朝日新聞」、2003、4月27日 民主党案は土台になる 有事法制(社説) 朝刊2面
 「有事法制に関連する法案の国会審議が新たな局面を迎えた。与党が修正案を出し、民主党は対案を提出する。
 万一に備える法律がなく、いざというとき超法規的な措置で対処せざるをえない状態を放っておくことは好ましくない。国民の十分な納得を得て必要最小限の法整備をしておく必要はある。
 安全保障をめぐる国民の不安は深まっている。大規模なテロが実際に起きた。北朝鮮の核開発や日本を射程に収めるミサイルに、多くの人が恐れを感じている。
 冷戦時代とは異なり、そうした「新しい脅威」を現実味をもって感じざるをえなくなっている。大地震のような自然災害も、いつ襲ってくるかわからない。
 これら有事にいたずらにおびえたり、過剰に反応したりすることは戒めるべきだが、備えは要る。
 自衛隊や警察がどういう活動を担い、首相や各省庁は何をしなければならないか。その仕組み、政府の権限とその限界をきちんと定めておくことは大事だ。
 その際、忘れてはならないことがある。
 法整備は、あくまで有事や国民の生命や財産を守るためで、政府や自衛隊の権限や裁量の拡大を主要な目的としてはいけない。とくに、国民の基本的人権や社会的な権利の制限には厳格な歯止めがかけられていなければならない。
 昨年末、継続審議となっている政府案は、旧ソ連の大規模な侵攻という事態を想定して作られている。いかにも時代遅れの「有事」である。併せて必要な国民保護法制も欠いている。
 与党修正案は、政府案に対する世論の批判に応えて、大規模テロや武装不審船にも取り組む内容となったが、基本的には政府案の微調整にとどまっている。
 一方、民主党案は検討に値する。
 テロや災害を含む「緊急事態」が起きた場合に備えて、国民の保護にあたる政府の中枢として危機管理庁を設ける。
 思想や良心の自由は「絶対的に保障」されるとし、「表現の自由の不可侵」も規定した。国民の自由や権利がどこまで制限されるかあいまいな政府、与党案に比べて、基本的人権の保障が明記されている。
 国会の関与も政府案より大きい。重要な決定は国会の事前承認が原則とされ、国会の要請に応じた情報の提供を政府に義務づけている。
 現実的な脅威への対処を重視し、有事にあっても国民の権利を最大限に確保しようとしている姿勢は支持できる。
 これから与野党の修正協議が始まる。
 法案が対象とすべき有事とは何か。文民統制は大丈夫か。国民の権利を最大限守れるか。論点はどれも重大だ。
 民主主義の原点に立った、慎重かつ実態に即した論議を望みたい。民主党の考え方は、その土台になる」。

コメント:
・価値評価の前提が不明瞭である
・何を以って必要最小限というかあいまいである
9.11と同規模のテロが日本に起こるかどうかの根拠に欠けている
・制空権・制海権を他国に握られたまま、地上軍が上陸する事態と同列に扱われるべきではない
・場合によっては、国民は権利の制限をこうむる必要があるかもしれない
・思想犯への対処には難しい問題が伴う
・自分で規定していずに立論していたとは笑止千万である

補足:有事法制とは竹岡勝美によれば、「いずれかの国が日本と周辺の制空権、制海権を確保した上で、地上軍を日本本土に上陸侵攻させ、国土が戦場と化す事態を想定した法制(2002年2月8日、参議院『第154回本会議における答弁』第7号7頁より)、つまり便宜的に有事に関する法制を指して使われる。

〔勉強のすすめ〕死刑賛成・反対の立場から「建設的批判」を試みよ。https://www.youtube.com/watch?v=HdYeUmQZjDg&t=116s

立論(A)・・・あることを主張し、それに対して論証を与えること。
批判・・・ みずから自分の立論の論証部に対して反論すること。
異論(A)・・・みずからの批判と対立するような主張を立論すること。

例:死刑賛成派(野矢茂樹、2006、『新版 論理トレーニング』産業図書、156ページより改変)
死刑賛成の立論:死刑は賛成である。なぜなら、死刑があることによって凶悪な犯罪がある程度防げているからだ。もし人を殺しても死刑にならないというのであれば、殺人事件がさらに増加するに違いない。
ありうべき批判:死刑の犯罪抑止効果は過大評価されるべきではない。また死刑を覚悟してでも犯罪を犯す人がいるかもしれない。
批判への異論:犯罪抑止効果は有効ではないか。というのも死刑を目の前に突き付けられれば、大抵の人は恐怖のため、思いとどまる割合が増えると考えられる。もちろん、死を以て殺人を制するという矛盾は、指摘できるかもしれないが、社会全体で見た犯罪率の低下という実効に比べれば、その矛盾は無視できる。

〔文献一覧〕
アリストテレス著、高田三郎訳、1971、『二コマコス倫理学』岩波文庫。
「朝日新聞」、2003、4月27日 民主党案は土台になる 有事法制(社説) 朝刊2面。
Baier, Kurt, 1977, "Rationality and Morality", Erkenntnis, Vol. 11(1), S.197-223.
Berkeley, George, 1949(←1734,17101), A Treatise concerning the Principles of Human Knowledge, London: Thomas Nelson and Sons Ltd.
伊藤真監修、2003、『適性試験トレーニング問題集』中経出版。
三浦俊彦、2002、『論理パラドクス――論証力を磨く99問』二見書房。
永井均、1996、『〈子ども〉のための哲学』講談社現代新書
野矢茂樹、1994、『論理学』東京大学出版
野矢茂樹、2005、「しかしの論理」、『他者の声 実在の声』産業図書
野矢茂樹、2001、『論理トレーニング101題』産業図書。
野崎昭弘、1976、『詭弁論理学』中公新書。
大森荘蔵、1981、「論理的」ということ」、『流れとよどみ』産業図書
大森荘蔵、1998、「思考と論理」、『大森荘蔵著作集 第七巻』岩波書店、179-289ページ。
W・V・O・クワイン著、中村秀吉他訳、1978、『論理学の方法 原著3版』岩波書店。
岡田章、1996、『ゲーム理論』有斐閣。
W・パウンドストーン著、松浦俊輔訳、1985、『囚人のジレンマ』青土社。
専修大学出版企画委員会編、2018、『知のツールボックス』専修大学出版局。
鈴木美佐子、2004、『論理的思考の技法Ⅰ』法学書院。
鈴村興太郎、2009、『厚生経済学の基礎』岩波書店。
高田瑞穂、2009、『新釈 現代文』筑摩書房。
田辺勉、2001、『標準 判断推理』実務教育出版。